ミニマリストしぶ著「手ぶらで生きる。」
家賃2万円、テレビもテーブルも、カーテンもない、がらーんとした4畳半の部屋で暮らすミニマリストしぶさん。
ミニマリストとして、とても有名な方です。
まだまだミニマルライフが流行っているのか、次々と出版されるミニマリスト本。私も今まで多くのミニマリスト本を読んできたので、正直言って、私にとってミニマリスト本にはもう目新しい考えはなく、何もかも出尽くした感があります。
そういう訳で、しぶさんの本も、出版されていることは知っていましたが、読んでいませんでした。
しかし先日図書館でふとしぶさんの本が目にとまり、これも縁かと思い、借りて早速読んでみることにしました。
恵まれた環境からの転落。そしてミニマリズムとの出合い
お金持ちのおぼっちゃんとして生きてきたしぶさん。
しかし、父親の自己破産が原因で両親は離婚。
その後の貧乏な暮らしと2浪の末の大学受験の失敗。
しかし、そのような転落の人生の中で出合ったミニマリズムにより、しぶさんの人生は劇的に変わったのです。
そんなしぶさんのミニマルライフの思考の一部をご紹介します。
ミニマルライフで人生を変える
本文が始まる前の一文です。
「なににお金を使い
なにに使わないかを決めたら、
人生が動き始めた話」
おそらくこの一文が、しぶさんのミニマルライフのすべてを語っていると思うのです。
自分のことを突き詰めて考える。他人の目線でなく自分の本当の心が何を欲しているのか。
自分に徹底的に真剣に向き合えば、自分のやりたい事、やるべき事が見えてきます。
そして、やりたくない事も。
やりたくない事にはお金も時間もかけず、これだと思ったことに集中してそこにお金と時間をかけるのです。
ミニマリズムの目的は「物を減らすことで迷いをなくし、大切なことに集中する」こと
趣味の断捨離
私は結婚してから、主婦である自分を、そして子どもを産んだ後は、母親である自分というものにプラスして何者かになりたい、という気持ちを持っていました。
だから、以前から習っていた趣味に加えて、新たに習い事を始めてみたりと、色々なことに手をだしていました。
趣味を極めて、教室を開いたり、販売をすることを夢見ていたのです。
習い事の一つには手芸があり、きれいな布やビーズなどの手芸用品を多く買い求め、そういうものにたくさんのお金を費やしていました。
しかし、あれもしたい、これもしたい、ではお金は続かないし、時間も足りません。
結局何もかもが中途半端になり、多くのお金と時間を失いました。
考えに考え、手芸系の趣味を手離した私は、今までそれに費やしていたお金と時間をピアノにかけることにしました。
その結果、レベルの高い先生のレッスンを受けられるようになり、家でのレッスン時間も多く取れるようになったので、少し腕が上がったと実感できるようになりました。そうするとますますピアノが楽しくなり、充実のピアノライフを送ることができるようになったのです。
心の底から欲しいものを選ぶ
「好き」ではなく、「大大大好き」な物を選ぶ
「ちょっと好き」ではなく「大大大好き」と思えるレベルの「好き」を大事にするということ。
中途半端な「ちょっと好き」レベルで物を選んでいたら、心が完全に満たされることはないし、物欲も一生おさまらない。
しぶさんは、こだわるものには、多くのお金をかけておられます。
例えば、ドライヤーは4万円のものを持っておられます。
それは、とにかく早く乾かしたいから、だそうです。
普通、4万円のドライヤーを持っているなんて、さぞ裕福な人なのだろうと思いがちですが、他を削れば、お金持ちでなくても、買うことは出来るのです。
これは、確かにそうだと言えます。
モノを選ぶときは、中途半端に妥協すると心は満たされません。
そうすると、結局また買うことになり、結果、多くのお金を使うことになってしまうのです。
大大大好きなものなら、毎日でも使いたくなります。
大大大好きなバッグは、365日持ちたい。
大大大好きな服は、1週間の間にもう一度着たくなる。
満たされているから、また新しいものが欲しいとは思わないので、余計な買い物を防ぐことができるのです。
私がそういうことに気がついたのが、2015年頃。40代の前半にして、ようやく、です。ちょっと遅すぎたような気がしますが、仕方がないですね。
今までの、たくさんのアイテムを持つことが豊かであり、満足感を得られるのだと勘違いしていた日々。
そんな時代があったことも、今ではもう遠い遠い昔のことに感じます。
大大大好きなものなら、たくさん持っていなくても、幸せです。
数を多く持つ必要はありません。
それなら、その大大大好きなものが、もし高価で、今までなら自分には絶対買えないと諦めていたようなものであっても、買えるようになるのです。
そして、手に入れた大大大好きなものを長く大切に、幸せな気持ちで使うことが出来ます。
妥協して買った、数多くのものを持つよりも、ずっと満足感、幸福感が得られるでしょう。
そして、大大大好きなものが少々高いものであったとしても、結果的にはお金が貯まるようになります。
おわりに
2015年頃に出合ったミニマリズム。
それから4年経った今、しぶさんの本を読むことで、改めてミニマリズムの素晴らしさを再認識しました。
しぶさんのミニマルライフは、何もかもが受け入れられるわけではないかもしれません。
お布団を敷かず、フローリングの上で直接寝るしぶさんの生活には驚きですし、私にはとても真似できそうにありません。
食事は一日一食、だなんて、とてもとても!
ミニマリストは批判の対象になることもあるようですが、ミニマルライフは人それぞれ。
人によって最小限も違ってきます。
家族構成や職業、年齢、性別によって、ライフスタイルは様々です。
要は、無理をせず、快適に、自分が心から幸せだと思う生活をおくるための手段をどうするか?ということなので、モノが沢山ある家、たとえそれらがガラクタ同然のものであったとしても、そういう家に住む方が自分らしく幸せなのなら、人に迷惑をかけなければ、それで良いのではないでしょうか。
しかし、私に関していえば、掃除がしやすく、モノの管理が簡単で、大大大好きなモノ・コトに多くのお金と時間をかけることが出来る、「モノを持たない暮らし」は快適すぎて、そのような暮らしをもはや手離すことはないでしょう。
ミニマリストしぶさんの「手ぶらで生きる。」
すべてが受け入れられることではないかもしれません。
でも、その思考には気づかされることが多くあります。
ミニマルライフに関心は無くても、何かしら得るものがある、と思います。
ミニマルライフに興味がある方にはもちろん、すでにミニマルに暮らしている人も、アンチミニマリストにも、おすすめできる一冊です。