姫椿流 隠居生活への道

老後を意識しながら今を心豊かに生きる、アラフィフ姫椿のブログです。

【本】文学界の天才中学生・鈴木るりかさんの「さよなら、田中さん」を読んで考える。人生や幸せというものについて

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14歳の天才作家の作品に心が震えた

 

中学生が書いた、最近話題の小説を読みました。

 

 

14歳の中学生作家、鈴木るりかさんのデビュー作、「さよなら、田中さん」です。

 

 

 

小学館の「12歳の文学賞」で3年連続大賞を受賞した鈴木るりかさん。

 

family.shogakukan.co.jp

 

話題になっているので・・と気軽な気持ちで読み始めたこの小説に大きな衝撃を受けました。

 

 

主人公の田中花実は小学6年生。工事現場で働くお母さんと二人で、貧乏だけれども明るく楽しく暮らしています。

 

 

そんな二人と周りの人たちとの日常や事件が、14歳が書いたとはとは思えない見事な人間描写で書かれています。

 

 

とにかくテンポが良く、どんどん読み進みます。無駄な箇所というものがひとつも無いように感じました。完璧だと。

 

また、細かいところにも気が配られていて、るりかさんの教養の高さが滲みでています。

 

ちょっと褒めすぎでしょうか?

 

 

想像力を働かせる

 

作中では、6年生の花実ちゃんや友人たちだけでなく、お母さんをはじめ、多くの大人が登場します。

 

 

作者の鈴木るりかさんをすごい、と私が思うところの一つには、そういう大人たちの微妙な心理描写が上手いところです。

 

 

まだ人生経験の少ない中学生が書いたとは思えないのです。

 

 

想像力、なのでしょうか。

 

そして、るりかさんは、優しいです。

 

どんな登場人物に対しても、どこか愛があるように感じます。どこかに救いの手を差し伸べているような。

 

 

幸せの形は人それぞれ

 

花実ちゃんとお母さんは、母子家庭です。

 

 

お母さんは工事現場できつい仕事をしながら花実ちゃんを育てています。

 

食事はいつも激安スーパーの、閉店間際の割引シールが貼られたお惣菜なのですが、底抜けに明るいお母さんと一緒の食事は、決して貧しいものではなく、豊かで幸せなものに感じられます。

 

そんなお母さんの下で育っている花実ちゃんも、明るく賢く素直な小学生です。

 

しかし、そんなお母さんも、どうやら過去に何か傷を負っているような様子が作中から察せられます。

 

賢い花実ちゃんは、お母さんのそんな過去のこともなんとなく察しているようで、お母さんをさりげなく気遣うことのできる女の子です。

 

他に、大家のおばさん、元秀才のニートの青年や、お受験ママ、友人の本当のお父さん、変り者の小学校の先生など、様々な人物が登場し、物語を面白く、また切なくさせています。

 

 おわりに

  

たった14年の人生経験で、様々な人間の心理を見事に描くことができる鈴木るりかさんには本当に驚かされました。

 

「さよなら、田中さん」は5つの短編から成っていますが、すべての物語が関連しています。

 

表題作の「さよなら、田中さん」は一番最後にあるのですが、終盤は涙が止まらなくて、通勤途中ではなく家で読んでいて良かったと心から思いました。

 

この最後の作品は、中学受験をめぐるインテリ一家のお話なのですが、なかなか凄い、本当に存在しそうなお母さんが登場します。見栄っ張りのお母さん,出来の良くない息子の心理。 そして、田中さん親子との絡み。悲劇のような話なのだれど、希望のあるような結末に心が揺さぶられました。

 

 

 

騙されたと思って、ぜひ読んでみて頂きたい小説です。

 

 

「毎日かあさん」で有名な西原理恵子さんのイラストも、内容にぴったりです。