疲れて家事がおろそかになる今日この頃
パートに出るようになってからは、もう身体がくたくたなので、平日の勤務日は、洗濯と食事という毎日どうしてもやらねばならないこと以外の家事は、出来ずに終わることがほとんどです。
掃除はほとんどを休日に行っているという状況です。
本当は毎日こまめに掃除をする方が良いのですが、分かっていても身体が動きません。
休日ですら、平日の疲れが溜まって、大した掃除は出来ていないというのが現状です。
主婦(夫)の仕事は大変だということを改めてしみじみ感じています。
小堀杏奴のエッセイ
私がとても大切にしていて、何度も読み返すほど気に入っている本があります。
文豪・森鴎外の次女、小堀杏奴(1909-1998)の「朽葉色のショール」です。
家庭生活のこと、そして父、森鴎外のこと、付き合いのあった作家・永井荷風のことなどを味わい深い文章で綴ったエッセイ集なのですが、ここから、家庭の主婦について述べられている箇所を引用します。
朝、綺麗に掃除した部屋も、夕方になると散らかってしまう。それをまた翌朝、綺麗にかたづけて居心地よくする。朝食事をしても、働いて昼になれば、おなかがすいてくるし、夕方になると、また空腹を感じる。どんなに栄養のあるおいしいものでも、一回にたくさん食べておけば、それで済むというものではない。やはり三度三度、目先を変え、栄養のある食事を工夫して食べさせなければならない。肌着のようなものでも、これは実際の経験だが、赤子、つまり新生児でも一日たつと小さなガーゼの肌着の襟に、かわいい襟垢がついていることがわかる。
そう考えてくる時、家庭の主婦の仕事というものは、家族の者を常に居心地よくし、あらゆる意味で欠けたものを満たす建設的で、たいせつな役割である。室内が乱雑にされることを破壊とすれば、それをもとどおりきちんとかたづけ、居心地よくすることは建設であり、それをもっと大げさないいかたにすると、前者は戦争であり、後者は平和である。
引用 「父の生きかた」(昭和45年4月)
家事とスケジュール管理
毎日繰り返される食事の支度や洗濯、掃除などに加え、家族のスケジュールを管理するのも主婦(夫)の大事な役割です。
子どもがいると特に大変だと感じます。
つい先日は、娘の中学は期末テストであったため、下校は昼前でした。
娘は昼頃に帰宅。その後すぐ塾の特別講習があり、休憩時間を挟んで、次は夕方から夜まで通常の授業があるというハードスケジュール。
私が会社から帰る時間にはもう娘は塾にいることになるので、私は出勤前に娘の家でとる昼食と塾でとる夕食の二つのお弁当を作っておきました。
このように、娘や息子の学校の給食がない日や、塾の時間がいつもと違ったりすることが時々あります。それに合わせて食事の準備などが普段とは違ってくるので、注意が必要です。
夫もお弁当がいるときと要らないときがありますし、いつもより早く出勤する日は私もそれに合わせて早く起きなくてはいけません。また、私と子ども達が夕方から出かける用事があるときは、あらかじめ夕食を作り置きしておいたり・・と常に家族のスケジュールを頭に入れて、それに合わせた食事作りをしなければなりません。
その他、通院もあります。
疲れているときは子どもを病院に連れていくのも億劫です。先日やっと重い腰をあげてインフルエンザの予防接種のために病院に行きました。連れていくだけならまだしも、混んでいたときのことを考えて、予め夕食の下ごしらえをしておいたり、と食事のことを気にしなければいけません。
子どもの学校の給食の有無、通院の付き添いや習い事の時間、夫の出退勤時間などによって変わる家事の段取り。
自家用車で、子どもの習い事の送迎を行っている人は、もっと大変だろうと思います。私は車を運転しないので、塾へはバスで行かせているため、その点はまだ楽です。娘が言うには、夜の10時頃、塾が終わって外へ出たら塾の前の道はいつも迎えの車で大渋滞なのだそうです。
子どもが2人、3人いればより大変だろうと想像できます。
まあ、習い事などを一切させなければ楽なのでしょうけれど、親としては習い事の1つや2つ・・という気持ちにもなりますよね。
このように、家族のスケジュールを常に頭に入れて行動しなければならないので、頭の中は、いつも色々なことを考えている状態です。
これが簡単そうで、意外と大変なのです。
たまには、何も考えずにぼーっとしてみたいものです。
自分のことだけ考えていられれば、楽なのに、と思います。
おわりに
残念なことに、家事というものは低くみられがちです。
現実には、どうしても、お金を稼いでくる者の方が力が強いです。
でも、一軒の家を綺麗に保つことや家庭生活を快適に過ごす環境を整えるということは大変なことです。
こういうことを疎かにしていては、家族一人一人の生活のどこかに歪が生じてくるのではないでしょうか。
地味で目立たないかもしれないけれど、誰かがやってくれているから家庭が上手く回っていくのだと思います。
私は独身時代、ひどい通勤ラッシュの電車で毎日会社に通っていました。
定時で退社することもありましたが、忙しいときには帰宅するのが夜の10~12時前になることもありました。
でも、意外と身体に負担はなく、そんなに大変だったという記憶はありません。
それは20代で若かったということもあるかもしれませんが、家で家事の一切を引き受けてくれていた母親のおかげであったのだと今になって思います。
仕事で疲れて帰宅したら食事の準備が整っていて、洗濯物もきちんと畳まれている。お風呂も沸かしてくれて、私は入るだけ。私は食器の後片付けも、掃除も、何のお手伝いもしない娘でした・・・。
休日も家事は何もしないので、完全休日でした。
こんな状況なら、多少仕事が忙しくても、ゆとりのある日々を送ることができますよね。
当時はやってもらうことが当たり前で、母親に感謝なんてすることは無かったです。今になってようやくその有難さをしみじみと感じているところです。
家事は「縁の下の力持ち」のようなものです。
もっと評価して欲しいし、家事をする私たち主婦(夫)自身も誇りを持って堂々としていたいものです。