坂上忍著「偽悪のすすめ~嫌われることが怖くなくなる生き方~」
先日、久しぶりに図書館に寄ったら、坂上忍さんの本が書架の中の目立つところに置いてあったのが目に入り、借りてみることにしました。
坂上忍さんといったら、毒舌キャラですよね。
嫌われることを恐れず、思ったことをずばっと言う坂上さんは、本当のところ、どんな考えをお持ちなのか、興味を覚えました。
博打には人生の学びがある
坂上さんは博打がお好きだそうです。最初の方は、博打の話が延々と続きます。
競艇と麻雀。
博打ほど心も体もシビれることは、仕事では味わえないそうです。
坂上さんの「博打の現場は人生の縮図そのもの」という考えは、若い頃に友人の付き合いで2度競馬場へ行ったことがあるだけで、ギャンブルをしない私には分かるようで分からないのですが、博打への愛はひしひしと感じられました。
本でも毒舌
本の中身も毒舌トークです。
「男は口説いて磨かれる」「本命なき浮気は公営競技」などなど。
「女を口説く」という行為は男にとって、博打に次いで最高の冒険とスリルがあるそうです。
その辺りの話も延々と続きます。
その他、現在手掛けている子役の養成スクールを通して語る子どもというものについて、また子どもに向き合う姿勢、そして仕事に対する考え方など、熱い語りに引き込まれます。
実は坂上さん、大変苦労して育っておられるそうです。
お父さんの事業の失敗とギャンブルで作った多額の借金を、役者で稼いだお金すべてを充てて、返済されたのだとか。
お母さんに暴力を振るったりと、とんでもないお父さんだったそうですが、憎しみだけでなく、憧れた部分もあり、影響を受けているところもある。しみじみと血の繫がりを感じることもあるのだそうです。
親子の関係とは、複雑なものなのですね。
すでに手に入れたものはいつでも取り戻せる
「いろいろなものを手放して、身軽になって生きていきたい」
と願い日々を過ごしている私です。
坂上さんから、そんな私の心に深く染みわたるような言葉を頂きました。
人間は社会生活を送るなかで、いろいろな経験やものを手に入れていきます。
知識、名声、金、家族、車、家、プライド。気がつけば、とても抱えきれないほどの量になっています。しかし、そのすべてを持ったまま人生を歩んでいくのはとても困難なことです。フットワークが悪くなって歩むスピードは恐ろしく遅くなるし、肩にのしかかかる重みばかりが気になって、いままで見えていたものも見えなくなる。新しいものを背負うことなど不可能になる。
守ろう、守ろうという弱気の姿勢になると、途端に思考や行動が保守的なものになっていきます。手放すことができなくなると、本当は邪魔なだけで不要なものまで抱え込んだままになってしまう。捨てればラクなのに、それができない。
人の心のなかには、「一度捨ててしまうと、二度と手に入らないのではないか・・・」という恐怖心が宿っています。でもそれ、本当は違うんです。すでに手に入れたものは、いつでも取り戻せる。僕自身、身をもって経験しましたし、実際に捨ててみたら、今度はそれ以上のものになって戻ってくるという体験を何度もしました。
本当に必要なものと不要なもの。恐怖心を脇において、一度、整理してみる価値は十分にあると思います。あなたがもし、人生において前に進めず壁にぶつかっているとしたら、その試みが、きっとなにかのきっかけを作ってくれるはずです。
おわりに
坂上さんの毒舌トークの裏には、深い考えがあることを知りました。
引用した部分は、ミニマリズムですよね。
人なんて、表面的な言動では分からないものです。
坂上さんのテレビの印象とはまた違う一面を見ることができ、読んでみて良かったと思える一冊でした。