薬丸岳著「Aではない君と」
ある日突然、息子が殺人事件の容疑者として逮捕されます。
父親はどうやって息子と向き合って行くのか。
少年の両親は離婚していて、少年は母親と暮らしていました。
この物語は、離れて暮らす父親と息子との関係に焦点をあて、加害者の家族、被害者の家族、そして少年法犯罪について、デリケートな問題に深く考えさせられる重い作品です。
子どもからのSOS
我が家の話になりますが、先日息子が2日間学校を休みました。
最初の日は何となく体調が悪いと言ったので、熱は平熱でしたが、季節の変わり目だから体調を崩したのだろうと思い欠席させました。
夕方頃には元気になっていたので、翌日は登校できるだろうと思っていたのですが、翌日の朝には耳が痛いと言いました。
息子は過去に何度も中耳炎になっているので、また中耳炎だろうと思い学校を休ませて耳鼻科へ連れて行きました。
しかし、先生によるとどこにも異常はなし。
熱も無いし、学校を休まなければいけない症状は何もないとのこと。
病院を出て、午後からの授業だけでも受けるように息子に言いましたが、息子は「耳が痛い、体調が悪いから家にいる」と言います。
「何か学校で嫌なことがあるの?」と聞いても、「何もない」と言い、学校は楽しいそうで、ただ具合が悪いだけだとのこと。
どうしようか迷いましたが、無理に行かせるのもよくないと判断し、結局午後からも家で休ませました。
次の日は元気になって問題なく学校へ行きましたが、息子は時々こうやって学校を休むので、私にとってこのことが少し不安の種となっています。
息子は登校した時は元気そうに帰ってきますし、ランドセルを置いたらおやつも食べずに友人と遊ぶために外へ出て行きます。
勉強が好きなので授業が苦だということもなく、先生の話によると学校でもとても楽しそうに過ごしているようです。
それなのに、身体に何の異常もないのにどうして学校へ行きたがらないのか?
もしかしたら心配することは無いのかもしれませんが、子どもからのSOSは決して見逃してはいけません。
常に注意深く子どもを観察しなければと、いつも心に決めています。
おわりに
物語では、父親は息子のことを愛してはいましたが、息子のSOSに気づくことが出来ませんでした。
事件後、父親は真剣に息子に向き合います。
読み進めるのが辛い場面もありましたが、親として、読んでおいて損はない作品だと思います。
以前、知人から発された言葉が忘れられません。
「子育てに手を抜くと、後で必ずツケが回る」
定年まで正社員でバリバリ働いていた、今はもうリタイアされた知り合いの女性の言葉です。
夫婦とも激務であったため、しっかりと子どもに向き合うことが出来なかったそうです。
詳しいことは語られませんでしたが、子どもが思春期にさしかかった頃、相当苦労をされたようです。
親子の関係。
どんな関係が正解なのかは分かりませんが、日々、どんな事があっても愛しているということ、受け入れるということを言葉でも態度でも示すことを忘れずにいたいと思っています。