林修著「受験必要論」
「今でしょ!」で有名な林先生の著作本を初めて読みました。
林先生はよくテレビに出ておられるようですが、私はあまりテレビを見ないので、実を言うとこの本を読むまでそのお考えなどを深くは知りませんでした。
林先生の言葉に共感
林先生の数々の言葉に共感を覚えました。
その一部をご紹介します。
『受験ができることは特権的なことである』。これはすべての受験生に心しておいてほしいと思います。
~中略~
そもそも勉強できるということは贅沢なことなんです。
~中略~
大学とは自分の可能性を探す場所です。そんな素敵な場所への挑戦を親がさせてくれる環境にある。しかも、行きたくても行けない人がいる中で行かせてもらえる。なのに、受験に真剣に取り組めないというのは、甘えているのではないでしょうか。やりたくないならば、やらないほうがいい。逆に、やらせてもらえるのならば真剣に向き合いなさい、と言いたい。
別に全員が受験をする必要はない。何か打ち込むことが見つかっている人にとっては、受験は不要です。しかし、そういう人は少ない。とすれば、そこに受験の意味を見い出すことは可能でしょう。10代のうちに自分の人生に真剣に向き合うことを可能にする1つの制度である、と。
受験勉強で得た、入試で点数を取れる能力は、今後の人生で1回も使うことはないかもしれません。けれども、16歳から18歳にかけての時期に、1つの目標に向けて、欲望を抑制しつつ、結果を出すことができたとすれば、それは一生の自信になりえます。
『オレはやればできる』と自分をごまかす生き方はみじめです。
一方で、どんなことであれ、実際にやって結果を出したことから得られる自信は確かなものです。
まだまだ狭い世界に生きている高校生にとって、受験がその役を果たしてもいい、そう考えています。
勉強をする目的とは
巻末に、灘高校の英語教諭・木村先生との対談が載っています。
林先生の、「結局のところ、勉強する目的は何か」という問いに対する木村先生の言葉に深く感銘を受けました。
一番大きなことは、生きている間の自分の力を上げて、他の人たちのためにどれだけ尽くせるか、ということじゃないですか。それに尽きると思います。
おわりに
勉強が好きならば、真剣に向き合う気持ちがあるのなら、受験は良い制度なのではないかと、林先生同様に私も思います。
この本を読み、林先生はとても広い視野を持っておられる方だということが分かりました。私は先生に対する印象が180°変わりました。
(先生、今まで誤解していました。ごめんなさい)
子どもを持つ親御さんは勿論のこと、そうでない人も、受験に縁のない人、なかった人にとっても、どんな人にとってもきっと何か得るものがある本だと思います。
受験というフィルターを通した人生哲学本とも言えるでしょう。