フランス・パリでの豊かな暮らし
パリでフランス人の夫と暮らす、日本の名門のご出身である79歳の弓・シャローさん。
79歳とはとても思えない若々しく美しい弓さんの、人生を心豊かに楽しむ方法を紹介する本です。
ファッションについて
フランス人は、衝動買いをする人がめったにいないそうです。
日本ほど、ファストファッションから一流ブランドまで服も靴も小物も揃うところはない。
日本人が服をたくさん買う割に、着る服がない、何を着たら良いのかわからないという人が多いのは、選択肢がありすぎるからなのだ。
そして、そのようになってしまう原因は、自分の似合うものが分かっていないからであると断言しておられます。
フランスでは、センスがいいといわれるマダムほど、少ない自分の定番服を上手に着回しています。「目新しい1着より、似合うに勝るおしゃれなし」ですよ。
似合うに勝るおしゃれなし
本当に、その通りだと思います。
私もこの2、3年で、自分のワードローブの見直しをして、本当に自分の似合うもの、本当に好きだと思う服だけを残して、後はすべてリサイクルショップに買い取ってもらいました。
歳を重ねるにつれ、たくさんの失敗を経て自分の似合うものが分かってきました。色や形。買うときは必ず試着をし、少しでも違和感があれば買わない選択をする。なるべくシンプルで質の良いものを選ぶ。
Tシャツやカットソー1枚買うのにも考えに考えて購入します。
今ではもう失敗するはなくなりました。
パリでの暮らし
いま、家の中にあるのは好きな物ばかり。特別高価だとか、価値がある物というわけではありませんが、日本から持ってきた物やフランスの蚤の市で購入した大好きなアンティークの家具を中心に、気に入った物を少しだけ置いています。小さな石けん一つにしても好みの色と香りにこだわっていて、好きな物しかもう要らないの。
好きな物しか要らない。共感します。
好きな物しかない部屋で暮らす、それが一番の幸せでないでしょうか。日々、特別なことはなくても、ただその空間にいるだけで心が満たされる。一番の贅沢であり、そしてそれを実現するのは難しくないことだと思います。
弓さんの、風水を勉強している友人の話によると、家の中の物がその住人に愛されている物が多い家は、その家は運気が強いのだそうです。
生きるということ・働くということ
よく知られていることですが、フランスの女性に専業主婦はほとんどいません。それはフランスでは働く女性をサポートする体制がとても良く整っているからです。
弓さんも今はリタイアされていますが、ずっと働いてこられました。
夫との生活は割り勘でやっておられるそうです。
日本の名家にお生まれになった弓さん。
大変豊かな家庭で恵まれた子ども時代を過ごされたようですが、昭和20年の敗戦で生活は激変しました。
お父様はGHQに勤務することになり、裁縫が得意だったお母さまは、仕立物の内職で家計を支えたそうです。
生きるためにはお金が必要です。ならば、その必要なお金を人は自分でできる仕事をして得なければならない。「生きる」ということは「働く」ということ。父母の姿は、その後の私の生き方に大きな影響を与えた気がします。
好きなことをして経済的に自立をする。
素晴らしいことですよね。
これが出来たら怖いものはないと思います。
しかし、今の日本の現状では、女性が結婚・出産をして経済的に自立できるほどの収入を得続けることはとても難しいことです。
出産で一旦退職してしまうと、次は以前のような高収入で自分の能力を最大限に生かせる職場を見つけることは厳しいでしょう。
自立なんてほど遠く、家計の足しになる程度の収入を得るのが精いっぱいという人が多いのではないでしょうか。
けれども、自立とは程遠くても、少しでもお金を稼ぎたい、と私は考えています。
ちょうどパートに出ることを考え始めていた私にとって、弓さんの言葉は深く心に響きました。
生きるということ、働くということ。
今になって、ようやく真剣に考えるようになりました。
おわりに
この本には人生を豊かに生きるヒントがたくさん詰まっています。
女性としてどう生きるか、働くか。
夫婦間の問題にも言及されています。
長い人生で様々なことを乗り越えてきた方の言葉には重みがあります。
心から出合えて良かったと思える良書です。