沢山の趣味
姫椿の趣味は、ピアノと読書です。
この2つがあれば、とにかく幸せです。
しかし、数年前まではもっと沢山の趣味を持っていました。
トールペイント、かぎ針編み、ビーズ、裁縫などの手芸。色々と手を出していました。
トールペイントでは、綺麗な色のアクリル絵の具や輸入物の図案、手芸では布やビーズ、ボタン、毛糸など気に入ったものを見つけるたびに、本当によく買い物をしていました。
時間が足りない
制作する楽しみというよりは、材料のコレクションをしていたような気がします。
私は絵心もないし、手芸の細かい作業も本当のところあまり得意ではなく、一生懸命作った作品も、いまひとつぱっとしない、手作り感満載の野暮ったいものばかりでした。
そして、ペイントや手芸に時間をかけると、ピアノの練習も出来ず、読書の時間も取れなくなりました。
小さい子どもが二人もいる中での趣味ですから、当たり前ですね。
それで、それぞれを少しずつ時間を取って楽しもうとしましたが、そうするとすべてが中途半端になるのです。
自分を見つめ直す
今から思うと、沢山の趣味に手を出していた頃は、自分というものがまだしっかり定まっていなかったような気がします。
子どもは授かったけれど、趣味を通して自分探しのようなものをしていたのだと思うのです。
子育てだけではなく、自分らしい何か、というものを探し求めていました。
しかし何をやってみても、しっくり来なかったのです。
趣味も、一番大切な子育ても、何もかもが中途半端になっていました。
そのうち、私は「自分が本当に好きなことは何なのか?」「本当に心から楽しいと思えることは何なのか?」「本当にやりたいことは何なのか?」と自分に問いかけるようになりました。
いつも、いつも考えていました。
小さい頃から好きだったこと
そうして出した答えは、私の本当に好きなことは小さい頃から親しんできたピアノと読書なのだということでした。
実を言うと、絵の具や手芸用品、そして下手な手作りの作品がどんどん増えることにも困惑していました。
日本ではまだミニマリズムという言葉は聞かない頃でしたが、自分が使いたいと思えない物をお金をかけて制作し、押し入れの中で眠らせておくことに疑問を感じはじめていました。
「捨てる!」快適生活 に出会う
飯田久恵著「『捨てる!』快適生活ー部屋スッキリの法則」という本が今から15年以上前に発売されました。
今のように日本でミニマリズムという考えやシンプルな生活が浸透する以前のことです。
当時私はこの本に大きな影響を受けました。
ミニマリズムを知る何年も前から、私は不要なものを減らすことに関心を持ち始めていたのです。ただ、その当時はそのことと精神的な面を結びつけて考えることはほとんどなく、ただただ、部屋をすっきりさせて気持ち良く過ごしたい、という思いが大部分を占めていました。
手芸用品を人に譲る
ペイントや手芸をきっぱり止めることを決意した私は、大量にある絵の具や手芸用品を、同じ趣味を持つ方に引き取って貰いました。
捨てるのではなく、喜んでくれる方に譲ることが出来たのが、何より嬉しかったです。
買い集めた道具や素材が、私のような不器用な人間ではなく、プロ並みの腕を持った人によって素敵な作品に生まれ変わるのだと思うと、心から良かったと思えます。
一方、一生懸命作った沢山の作品は、すべて処分しました。
勿体ないような気もしますが、処分して清々しい気持ちになりました。
後悔はしていない
沢山の趣味にお金をかけてきて、そしてそのほとんどが身につくことなく終わってしまいました。
あんなに手を出すべきではなかった・・と思うことも正直言ってありますが、しかしながら、やはりそれは必要な経験だったのではないかとも思うのです。
やりたい事は全部挑戦して、結果それらが自分には向いていないことが分かったことは自分の選択肢がいくつか消えたことになります。
そうなることで、自分の進むべき道がもっとはっきり見えてきました。
好きなことに集中する
多くの趣味を断捨離した結果、ピアノや読書に集中することが出来るようになり、ピアノは少し腕が上がったように思いますし、読む本の量も随分と増えました。
この2つの趣味は、生涯私の人生を豊かにしてくれることでしょう。
沢山あった趣味のものも無くなり、管理する手間が無くなったので、そういう時間も有効に使えるようになりました。
さらに数年経ち、ミニマリズムの考えが浸透しはじめ、私はますます様々なモノやコトを断捨離するようになります。
物理的にも精神的にもシンプルな生活がほぼ確立した今、私は自分自身というものを深く知り、それを素直に受け入れることが出来るようになりました。
様々なことから解放され、自由になりました。